ひさたろ書評No.29
海軍飛行予備学生第十四期会 (編) 評価(最高5):☆☆☆☆ 海軍飛行予備学生とは飛行要員になることを前提とした、 非正規ルートの士官候補生のことである。 通常海軍士官になるためには海軍兵学校へ進まなければならない。 しかし高学歴の志願者を対象に特別に士官への道が開かれていて、 そのうちのひとつがこの海軍飛行予備学生制度。 その中でも特にこの14期生は悲惨な世代で、 戦争末期、大学生の徴兵猶予が廃止され、 みんな一度は平兵士を経験している。 (普通は大学在学中に志願することで予備学生になるから平の兵隊を経験することは少ない) また、戦争末期にパイロットとして任官したことから、 その多くが特攻によって命を落としている。 この本はそんな彼らが予備学生時代から死ぬまでの間に著した手記をまとめたもの。 特攻隊とはどういうものか、 史実としてはいくらか知っている人も多いと思う。 しかし本書では隊員たちの手記を通して、 史記では触れることのできない彼らの生の声に触れることができる。 淡々とした史記とはまた違った特攻隊の姿を見ることができる。 史家の歴史本では大なり小なり著者の戦争への立場が文体へ入り込んでしまうが、 この本は当事者の書いたものをまとめただけのものなので、 中性的に読めるのもよい。 20代中盤の彼らは、 何を考え何を思い死んで行ったのか。 ぜひ多くの人に読んでほしい一冊。 ----- 2009/10/07 20:56 移動中 in新幹線 →掲示板でコメントする |
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