議員さんの給料は高いか No.4
連作もので4回も続いたのは初ではあるまいか。 前回までは議員給与を減らすとロクなことが起こらない、 という話を書いたが、 今回は視点を変えて。 減らした場合どの程度の財政再建の役に立つのかを考えてみる。 まず、基礎データ(平成20年前後)をば。 議員定数:722(衆480、参242) 関連支出(多め試算):2300億円(出典元:毎日新聞、参考リンク) 関連支出(少なめ試算):400億円(参考リンク) 予算規模:90兆円強 税収:40兆円弱(出典元:財務省HP) 借金:900兆円くらい(出典元:財務省HP) まず。 関連支出が試算法によって何でこんなにも違うのか。 これは1人当たりの経費をどの範囲まで含めているか、に由来する。 議員さんは通常、「給与」のほかに手当て的なものがいくらかある。 例えば「JR乗り放題パス」とか「公用車」とか「経費」的なお金。 これを元に試算したのが400億円のほう。 じゃあ何で多めにす試算すると6倍近くなってしまうのかというと、 議員さん1人雇うということは、 それに付随して秘書給与や職員給与が発生する。 さらに政党助成金とか議会職員とか国会図書館運営費とか、 そういうお金も発生する。 これを全部ひっくるめたのが2300億円の試算ほう。 報道なんかではよく多め試算やそれに準ずるものを国会議員数で割って、 あたかも国会議員がこんなに給与もらっている! 的な報道がされることがあるが、 内訳を考えると大間違いであり、 わかって報道しているのであれば相当な悪意を感じる。 あくまで「議員給与+α」は3000万円弱なのだ。 さて、だ。 上の基礎データを眺めてみて。 どう思う?? 多め試算のほうを全額カットしたところで、 税収に対して削れた額は高々0.5%程度。 国家予算規模で見たらたったの0.3%弱。 借金額に対してならほぼ0.03%。 焼け石に水である。 ここのお金を議論することで財政再建の役に立つ気があまりしないのである。 ここで追加データを乗っけてみると、 社会保障費:27兆円強。 公共事業費:5兆円強。 地方交付税交付金等:17兆円くらい。 (以上の出典:国税庁) 消費税収:9兆円強(出典:平成21年度国庫歳入(財務省)) どう考えても議論すべきは追加データの項目だと思うのだ。 マスコミでなんで国会議員給与の話が扱われるのかが、 いまいち不明なのは以上の理由から。 よく消費税増税(国民の負担増)と国会議員の給与の話がセットになって、 感情論で「まず議員給与(定員)を減らせ(議員も痛みを共有しろ!)」的な議論がなされているが、 そもそもその予算規模が桁違いなのだから、 まぜこぜにすること自体おかしいと思うわけ。 削ることによる弊害(前回までを参照のこと)とその効果を考えるに、 あまりにも意味のない議論だと思うわけさ。 結論: 議員給与削減は、 感情的には意味があるかもしれないが、 本質的には意味がないどころかむしろ害のほうが大きい。 どう、思う?? ----- 2010/09/05 14:37 あちぃよう。 in九州別荘 →掲示板でコメントする |
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コメント
じゃ、とりあえず、ひさは何を削減して財政健全化を図りたいと思う??
たとえ少額でも、仕分け事業も少額の積み重ねだよね。でもやってる意義はあると思うんだけどなぁ。難しいなぁ。
小沢 対 菅=地方 対 都市 みたいな構図になってきた感じだね。
投稿: まるよ | 2010年9月11日 (土) 16時50分
>まるよさん
なかなか難しい話ですね。
削減だけじゃ無理なのは目に見えているので、消費税増税は避けられないでしょうね。1%で2兆弱はでかい。
今回の一律定額カットは悪くない方法だと思いますが、社会保障の分野が除外されているのは「うーん」と思うところです。
痛みは若手とかの一部で負担すべきでなく、国民全体で負担すべきという考え方です。
そういう意味では消費税は世代間負担格差は少ない方法かと。
仕分け自体は意義あると思いますが、財政健全化にはあまり役に立たなかったというのが昨年度の予算でわかったことですよね。
ただ仕分けは「削減ありき」だと乱暴すぎて危険な気はします。
投稿: ひ | 2010年9月11日 (土) 21時54分
消費税は、生活必需品には5%のままにしてほしい。
他の贅沢品とみなされるものに10%なら仕方ないかな。
投稿: まるよ | 2010年9月12日 (日) 20時20分
>まるよさん
それなら一律8%くらいがいいですねー。
一律にしないなら所得税増税で対応した方がシンプルな気がします。
投稿: ひ | 2010年9月12日 (日) 22時29分