金管アンサンブルと現代音楽 No.4
初回はこっち。 「よし、次行くぞ」 と指揮者がこっちを見る。 よく見ると見ているのは指揮者だけではない。 全演奏者がこっちを見ているのだ。 どうもオレのソロから始まる曲らしい。 が、いったい何の曲なのか、 全く見当すらつかないのだ。 指揮者が指揮棒を振るも、 呆然と立ち尽くすオレ。 指揮者も音楽仲間も何やっているんだという目でにらむ。 会場がかすかにざわつく。 アンサンブルの審査員席の面々もしきりに首をかしげる。 なんなんだ。 何が正解なのだ。 困った。 本当に困ったぞ。 仕方ない。 えーい。 オレはムーンリバーを吹き始めた。 すると指揮者とメンバーにはほっとした表情。 ああ、これでよかったんだ。 よしよし。 とほっとしたのもつかの間。 次のフレーズに入った時だった。 音が、出ないのだ。 どんなにがんばってもスースーと息の漏れる音しかでない。 必死で吹くのだが、 どんなにがんばっても音が出てくれない。 オレのソロだというのである。 あせるオレ。 困り切った仲間たち。 必死に吹きまくるオレ。 しかしスースーという息の漏れた音しかしない。 そしてその時だった。 審査員の一人が立ち上がった。 立派な髭をたくわえた芸術家然としたおじさま。 恐ろしい形相をしながら、 コツコツと一歩一歩、 確実にオレのほうに近づいてくる。 ああ、南無三だ。 つづく。 ----- 2011/11/27 20:16 定例3本目。 inオレンチ →掲示板でコメントする |
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